ロウリュは素晴らしき人類の知恵。「熱くて苦しいサウナ」は過去の話
サウナ入浴は、
・新陳代謝の促進
・免疫力アップ(HSP)
・運動能力の向上(HSP)
・老廃物や有害物質の排出
・美肌効果
・安眠効果
・ストレス解消
・疲労回復
などに顕著な効果があることが知られており、古来から生活の中に取り入れられてきた、まさに人類の知恵です。
でも、「サウナは熱くて苦しくて苦手…」と感じている人は少なくありません。
室温が90度から時には100度を超える高温ドライサウナは、たしかに熱く、慣れない人や体質的に無理という人もいるでしょう。
しかし、ロウリュサウナなら80度以下の中温でも爽快な発汗と温熱効果が得られ、無理に我慢しなくてもサウナによる美と健康増進効果を体感することができるのです。
また、日本全国のサウナの温度設定をもっと低くできるということは、省エネルギーにつながり、ロウリュは環境に優しいということでもあるのです。
ロウリュの基礎知識
ロウリュ【Loyly】とは、サウナの発祥の地、サウナの本場フィンランドの言葉です。
サウナストーブにある石(サウナストーン)に水をかけ、そこから立ち上る蒸気を浴びる蒸気浴のことをロウリュと言い、ロウリュには森の魂が宿る神聖なものと考えられています。
フィンランドではまだ電気ストーブがない時代からサウナ室の中で火を使って石を焼き、その石に水をかけて蒸気浴を楽しんでいました。日本人が風呂好きであるのと同じように、寒いフィンランドの人たちは昔から大のサウナ好きで、各家庭に小さなサウナを持ち、ロウリュを楽しんでいます。サウナ室の中でお酒を飲み交わしたり、昔は女性がサウナの中で出産し、老人はサウナの中で死を迎えるというくらい、サウナが人生に密着したものとなっていました。
日本で現在最も多く普及しているサウナは、「高温ドライサウナ」と呼ばれるタイプで、摂氏100℃前後の温度設定で、湿度がほとんどない、つまり水がない状態です。
100℃ですから、大変熱く、しっかり汗をかくことができますが、例えば鼻から息を吸うと鼻の穴が火傷しそうに熱かったり、女性の場合はお肌や髪の毛を痛めてしまうのではないかと心配になるくらい、過酷な環境の中で我慢して入るものとなっており、それでもサウナ大好きという方もいらっしゃいますが、一方でサウナが苦手と考えている人も少なくありません。
本来サウナとは、そこまで温度を上げなくてもしっかり発汗し、身体を温めることができるものであり、フィンランド式の加湿型サウナの考え方をとり入れている施設もあります。
フィンランド式のロウリュは、水蒸気を浴びて、目を閉じながらじっくりと静かにロウリュを楽しみます。
サウナ室の体感温度は気温×湿度×遠赤外線×水蒸気×気流といった要素で変わりますので、摂氏80度くらいの中温でも湿度が高まると充分に熱く感じ、汗をかくことができます。
一方、タオルで仰ぐのはドイツ式で、『アウフグース』と言います。ドイツには日本以上に商業施設としてのサウナが普及しており、イベント的にロウリュを楽しむ習慣があります。
日本独自の表現で、『熱波』とも呼ばれています。
ロウリュ用の桶・柄杓を用いて、水にロウリュ用芳香液(ロウリュ芳香液、サウナ用芳香液などとも呼びます)を加えたアロマ水をサウナストーンにかけ、いっそう癒しの効果を高める工夫をすることができます。
「風呂」とはロウリュのことだった!?
古来から日本にあった「風呂」とは、室(ムロ)の中で燃料を焚き、内部の空気を高温にして入る熱気浴や輻射熱を遠赤外線浴、そしてそこに水や海水を投入して水蒸気を発生させる蒸気浴のことを指していました。
温かい湯を溜めて入る温水浴や温泉浴は「湯」と呼ばれ、「風呂」とは区別されていました。江戸時代になって、「風呂」と「湯」の中間系、あるいは両方の機能を備えた銭湯が登場し、いつしか「風呂」という言葉が蒸気浴や温水浴を網羅する意味を持つように変化していったと言われています。
海岸の洞窟を利用したり石積みや釜を使った石風呂は、内部で火を焚くことによって石を加熱し、そこに水をかけて蒸気を発生させることで温度調節を図かっていたことがわかっています。それはフィンランドのサウナやロシアのバーニャと極めて近い入浴法でり、蒸気浴こそが日本人の風呂好きの源流であったと考えられます。
銭湯と家庭用浴槽が普及したことで温水浴が主流となり、日本人がいったん忘れかけていた蒸気浴が、海外から伝播する形で復活して、ロウリュと呼ばれて人気を博しているのは興味深いことです。